押しも押されぬ世界のトップへ駆け上がった松山英樹。あの力強くて安定した世界基準のスウィングに憧れるゴルファーは多いが「真似すべきところ」と「真似しちゃいけないところ」をしっかり見極めなければいけないという。ゴルフスタジオ「√d(ルートディー)ゴルフアカデミー」のヘッドコーチ・浦大輔が徹底解説!

「トップで止まる」はマネしていいの?

ショットやパットの練習はもとより、シーズン中もフィジカルトレーニングやストレッチを欠かさず、強じんな下半身と体幹、そして肩甲骨や股関節の柔軟性を手に入れた松山。バックスウィングから切り返しにかけて“ゆっくり・大きく”動いて、ゆったりしたリズム感やトップでの“間”がアマチュアの参考になると言われがちだ。ところが浦コーチは、そこに疑問を投げかける。

「アマチュアの皆さんは、松山プロがトップで止まること、それによるゆったりしたリズム感を“良い部分”として真似したいと考えているかもしれません。ですが実のところ、彼のスウィングはトップでいったん止まってから、ダウンスウィングにかけて急加速させてインパクトを迎えることで、300ヤードを飛ばしているんです。それだけの瞬発力と爆発的なパワーを生む強じんなフィジカルや関節の可動域があって、はじめてできること。

実際に松山プロのスウィング写真を見ると、大きな捻転差もさることながら、インパクトにかけて前腕の筋肉がバキバキに張っているのがわかります。それだけ体幹のエネルギーや腕の力をボールに伝えているということ。そこまで体を鍛えることができないアマチュアが“トップで止まる”ことを真似すると、スウィングスピードが上がらなくて飛ばせないし、クラブを正しい軌道に乗せることも難しいので、ショットが安定しなくなります」(以下、浦コーチ)

画像: 松山のトップで止めてからダウンスウィングで急加速するスウィングは、体幹や筋肉をフルに使っているので、プロと比べて体を鍛えることができないアマチュアには難しい(写真は2018年のマスターズ)

松山のトップで止めてからダウンスウィングで急加速するスウィングは、体幹や筋肉をフルに使っているので、プロと比べて体を鍛えることができないアマチュアには難しい(写真は2018年のマスターズ)

アマチュアがヘッドスピードを上げて飛ばすには、バックスウィングの“反動”を使って切り返し、勢いよく振り下ろすことだと言う。最も大事なのはインパクトでスピードが上がることだが、その助走となるバックスウィングを“速く・大きく”上げて、その勢いを生かして切り返すことで、ダウンスウィングでヘッドが加速する。それによって大きなエネルギーをボールに伝えて飛ばせるということだ。ところがトップで止まったら、せっかくバックスウィングで作った勢いがリセットされてしまい、ゼロからスピードとパワーを生まなくてはいけなくなる。

画像: アマチュアが飛ばすには、バックスウィングの「反動」を使ったほうがいい

アマチュアが飛ばすには、バックスウィングの「反動」を使ったほうがいい

「クラブを振り上げた反動で切り返せば、カーボンシャフトの利点である“しなり”が生かせます。それによってヘッドがより走るようになる。私が思うに松山プロは(カーボンシャフトが挿さる)ウッド系クラブはたいへん苦労したのではないでしょうか。バックスウィングの反動を使わずに、トップで止まってからクラブを引っ張るように振り下ろしてこれだけ飛ばせるということは、適正な重心移動やフォローにかけて“頭を残す”というカタチができて、大きなエネルギーを逃がさずインパクトに集約させているからこそ。その代わり、トップで止まってから打ちにいくと、ショートアイアンはすこぶる安定します。松山プロの真似をして、ショートアイアンが上手くなったゴルファーはたくさんいるでしょう」

このように、インパクトで“大きなエネルギーを逃がさずボールに伝える”という点で、アマチュアもぜひ真似して欲しいところがあると言う。

「いわゆる“左サイドのカベ”がしっかりとできていることです。それが証拠に、松山プロはインパクトで左足が全くめくれません。フォローにかけて“頭を残す”というカタチができていることと、腰をあれだけ回しても左ヒザが外へ流れず足の裏が浮かないことで、大きなエネルギーを逃がさずボールに伝えられるし、スウィング軌道が安定するので球が曲がりにくいんです」

画像: 左サイドのカベを作ってエネルギーを逃がさずボールに伝える動きはアマチュアもぜひ参考にしてほしいと、浦は言う(写真は2018年のマスターズ)

左サイドのカベを作ってエネルギーを逃がさずボールに伝える動きはアマチュアもぜひ参考にしてほしいと、浦は言う(写真は2018年のマスターズ)

この“左サイドのカベ”を作るコツは「インパクトの瞬間に、左足の親指で地面をグッと踏み込むだけ」と言う。それがたとえば、切り返しなどで左足の親指を踏み込んでも、インパクトにかけてツマ先が浮いてしまいやすい。この“踏み込みドリル”は、裸足でやるとわかりやすいという。家でシャドースウィングをしながらでもすぐにできることだ。

「インパクトにかけて腰が左に流れてしまう“スウェー”で悩んでいる人、インパクトで体重が後ろ足に乗ってしまう“リバースピボット”が直らない人は、当たる瞬間に左足の親指で地面を踏み込むことで、体のポジションがズレずに適正なインパクトを迎えられます。それによって、ボールに力を伝えられて飛ばせるということです」

トッププロの“体さばき”を真似することで、あなたの悩みは一気にクリアになるはずだ!

撮影/姉崎正

2018年8月掲載

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